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人が成熟するということ3
2012 / 09 / 10 ( Mon )
家族療法の分化について書きましたが、人が成熟するということは、カウンセリングの目標をどこにするかという点と関係していると思います。つまり、相談者が「どのようになりたいか」という理想とする自己イメージ・自己像と関係しています。

同時に、心理療法ごとに目標とするあり方も異なっています。例えば、精神分析家のマックウィリアムズは、次のような目標があると述べています。

・精神疾患の症状が緩和すること
・洞察が深まること
・自分が自分の主体であるという感覚が増加すること
・アイデンティティが安定し、確立していくこと
・現実的なセルフエスティームが育つこと
・自分の感情を認識し、認めて、取り扱う能力が向上すること
・自我が強くなっていくこと(“その人が厳しい現実を否認したり歪めたりすることなく、現実を認めながら、持ちこたえられる方法を見つけ出すことができること”)

相談者がカウンセラーを選ぶ時、そのカウンセラーとの相性というのもありますが、それ以外に、そのカウンセラーが土台としている心理療法との相性というのもあると思います。相談者が目標とするものと、上記の例のように心理療法の目標(治癒像)が一致する、または近いものが望まれるのでしょう。

このあたりは、よく調べてみないと判断が難しいかもしれませんが、カウンセリングを受ける前に問い合わせをしてみたり、継続的なカウンセリングに入る前に実際に会って判断してみたりすることが必要かもしれませんね。


参考文献
マックウィリアムズ,N 成田善弘(監訳)(2006).ケースの見方・考え方,創元社.
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人が成熟するということ2
2012 / 09 / 03 ( Mon )
分化をベースにした家族療法では、夫婦・カップルの行き詰まりと葛藤を大切にしています。セラピーの中でも、その行き詰まりや葛藤を解決しながら、分化レベルを高めていくアプローチを取ります。

そのことを別の視点から見れば、このセラピーは、夫婦やカップルが持っている不安を軽減するアプローチではなく、不安耐性を高めるアプローチであるとも言えます。


ボーエンは、分化の度合いを「分化尺度」という表現で述べ、0から100のスケールで考えています。著書の中から引用してみると、次のような説明があります。

「完全な分化とは、自分の家族に対する情動的な愛着を十分に解決した人に見られる。この人は、自己を十分に発達させており、必要であれば集団の中で個であり続けることができる意味から、情動的成熟に達していると言える。この機能レベルを、尺度100とする。

完全な未分化は、自分の家族からの情動分離をまったく獲得してこなかった人に見られる。その人は、集団の中で個であることができない「自己のない」人である。この機能レベルを、尺度0とする。」

つまり、自分の欲求や感情、意見を知り、こうありたい、こうなりたいという自分の思いを明確にして、そのことをパートナーにも表現していくことが出来るようにするのが、目標の一つです。そして、この過程そのものが分化を上げていくものとなります。


ところで、今回の研修の必須図書の一つに「結婚生活を成功させる七つの原則」という本がありました。著者が勤めているシアトル結婚・家族研究所で行った、650組の夫婦を14年間に渡って研究した成果が述べられています。大変、読みやすい一般書ですので、夫婦関係やカップルで悩みを抱えている方は読まれてみるのも良いかと思います。

参考までに、7つの原則を引用しておきます。

原則1:二人で愛情地図の質を高め合う
原則2:相手への思いやりと感謝の心を育てる
原則3:相手から逃げずに真正面から向かい合う
原則4:相手の意見を尊重する
原則5:二人で解決できる問題に取り組む
原則6:二人で行き詰まりを乗り越える
原則7:二人で分かち合える人生の意義を見つける

以上の7原則となります。

(続)


参考文献
カー,M & ボーエン,M. 藤縄昭・福山和女(訳)(2001).家族評価―ボーエンによる家族探究の旅,金剛出版.
ジョン,M,ゴットマン & ナン,シルバー 松浦秀明(訳)(2007).結婚生活を成功させる七つの原則、第三文明社
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人が成熟するということ1
2012 / 08 / 27 ( Mon )
8月中旬に受講した研修は、家族療法の分野に関するもので、精神科医のボーエンの理論である「分化」に関するものでした。

ボーエン(1913-1990)は、テネシー大学で医学博士を取得し、ジョージタウン大学医学センターやジョージタウン家族センターで臨床や教授をしています。家族療法の分野では、「ボーエン理論」と言われる独自の理論を生み出し、50編を超える論文や著書などを著しています。

ボーエンの理論は、家族システム理論とも言われ、複数の重要な概念があります。例えば、夫婦間で発生した不安は次の世代に伝達される「多世代伝達過程」や、夫婦間の葛藤が子どもを巻き込みながら安定する「三角関係」などがあります。

今回の8日間の研修では、複数あるボーエン理論の中から、特に「分化」というものを取り上げていました。分化というのは、平たく言えば、人間の成熟度にあたるものです。それは、人間には精神的に自分の人生をコントロールしたい欲求(個体性/自律性)と他人と接触したい本能的な欲求(一体性/愛着)があり、その両方のバランスを取っていく生き方のことです。

例えば、集団の中にいても集団の考えに流されず、自分の意志を表明することが出来るということが、分化度が高いということです。逆に、相手の人が受け入れられずに自分の気持ちや考えを述べず、その相手から遠ざかって孤立するような場合は、分化度が低いということになります。

分化には、4つの側面があると言われています。

①明確な自己意識を持っていること
②不安に対して自己鎮静できること
③過剰に反応しないでいられること
④成長のために痛みに耐えられること

(続)


参考文献
亀口憲治(2000).家族臨床心理学―子どもの問題を家族で解決する―,東京大学出版会.
カー,M & ボーエン,M. 藤縄昭・福山和女(訳)(2001).家族評価―ボーエンによる家族探究の旅,金剛出版.
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成長する
2010 / 11 / 16 ( Tue )
パラマハンサ・ヨガナンダが設立したセルフ・リアリゼーション・フェローシップから、『師弟関係』という本が出版されています。その本の冒頭に、「私たち一人ひとりの人生には、ただ一つの目的があります。それは学ぶことです。学ぶことによって成長することです。そして成長し続けることによって、ついには私たちの真の性質を現し出し、神と一つである私たち本来の状態に戻ることです。」と書かれています。

私自身、成長という言葉には興味があり、ブログを立ち上げた頃に数回に渡り記事を書いたことがあります。「若い頃の苦労は、買ってでもする」という諺があるように、人は苦しみや困難な状況の中で、成長するものかもしれません。恵まれた環境や楽な状態が悪いわけではありませんが、自分を見つめ、いろいろと考えるよい機会を苦しみや困難な状況が与えてくれるのかもしれません。

私は、20代後半に山で遭難し、助けられて病院で緊急手術をしました。その後、ICUに入り、しばらく入院したことがあります。退院するまでの間、お見舞いに来てくれる友人や知人の有難さ、いろいろな人に助けてもらったことへの感謝を感じたものでした。そして、退院し病院を出たときに、「太陽って、こんなに眩しかったんだ」って、しみじみと思いました。何気ないことですが、普段生活していた頃には分からなかったことです。周りから見れば、苦しく嫌な出来事のように見えたかもしれません。しかし、この遭難を通じて、私は自分の人生の核となる、表現を変えれば軸となる考え方が出来たように思っています。人生は難しいようで、いたってシンプルな物かもしれません。

「人格というものは、試されることによって成長し、真価が問われていきます」と語った人がいます。目の前に起こる出来事を自分の肥やしにして成長していく・・・そんなあり方を心がけたいものです。
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成長について(正反合)
2010 / 03 / 21 ( Sun )
以前、カウンセリングのセミナーを受講していた時に、「正反合」の考えを説明された方がいました。この時の「正反合」の意味するところは、「ある極端な考えや行動をしていたら、それと逆の考えや行動を納得いくまで行いましょう。そして、納得がいったら、双方を見てより適切な考えや行動をしましょう。」というものです。

「正反合」と言うと、ヘーゲルの弁証法を思い出す方もいるかもしれません。しかし、ここでは、弁証法的に考えて、正しいとか正しくないとかは重要ではないように思いました。大切なのは、ニュートラルに物事を見るためには、相反する両極端の物事を一度経験することが必要ということではないでしょうか?

うつや不安へのセラピーとして認知療法を行うことも多いと思います。そのセラピーの一つとして、自動的に頭に浮かんでくる考え(自動思考)に対する矛盾する事実を考えていくというものがあります。これは、正に「正反合」の考えを応用したものですね。

人が成長する上で、ニュートラルな視点を持つことは大切なことでしょう。少なくとも私はそう思っています。

「正反合」・・・この3つのステップをすべて経験するのは、少し時間がかかるかもしれません。時には立ち止まっても、時間がかかっても、確実に亀のごとく進みたいものですね。私自身も、亀のごとく進んでいきたいと思っています。

テーマ:うつ病(鬱病)、メンタルヘルス - ジャンル:心と身体

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